転職先を調べていると、「離職率」という数字を目にすることがあります。
「離職率が10%なら低い?」「30%もある会社は危険?」「そもそも離職率はどう計算するの?」と疑問に感じる人も多いでしょう。
結論からいうと、離職率は企業の良し悪しを一発で判断する数字ではありません。
見るべきなのは、離職率そのものだけではなく、
- いつのデータなのか
- 誰を対象にした数字なのか
- どの業界・企業規模なのか
- なぜ離職したのか
- 過去と比べてどう変化しているのか
といった「数字の条件」です。
たとえば、同じ離職率20%でも、若手社員が多く人材の流動性が高い業界と、長期雇用が一般的な業界では意味が変わります。
この記事では、厚生労働省の「雇用動向調査」などの公的統計をもとに、離職率の意味や計算方法、平均値を整理します。そのうえで、10%・20%・30%といった数字をどう考え、転職先の企業研究にどう活用すればよいのかを解説します。
この記事の結論
離職率は「何%なら良い・悪い」と決めるのではなく、対象期間・対象者・業界・企業規模・離職理由・過去からの変化を確認し、求人条件や平均勤続年数、残業時間、給与などと組み合わせて判断しましょう。
離職率とは?意味と基本的な考え方
離職率とは会社を辞めた人の割合
離職率とは、一定期間に会社を離れた人が、対象となる労働者に対してどれくらいいるかを示す割合です。
厚生労働省の「雇用動向調査」では、常用労働者に対する離職者の割合を「離職率」としています。調査上の「離職者」は、調査対象期間中に事業所を退職したり、解雇されたりした常用労働者などを指します。
たとえば、ある会社で100人の対象労働者のうち、1年間に10人が離職したとします。
単純化すると、
10人 ÷ 100人 × 100 = 10%
となり、離職率は10%です。
ただし、実際の統計では「どの時点の労働者数を分母にするか」「どの期間を対象にするか」などが定められています。
そのため、企業が公表している「離職率10%」と、公的統計の「離職率10%」が、必ずしも同じ条件で計算されているとは限りません。
転職先を比較するときは、数字だけでなく、その数字がどのような定義で算出されたものなのかまで確認することが重要です。
離職率と入職率・転職入職率の違い
離職率と似た言葉に、「入職率」や「転職入職率」があります。
それぞれの意味は次のとおりです。
| 指標 | 意味 |
|---|---|
| 離職率 | 一定期間に離職した人の割合 |
| 入職率 | 一定期間に入職した人の割合 |
| 転職入職率 | 入職者のうち、転職によって入職した人の割合 |
| 入職超過率 | 入職率から離職率を引いた割合 |
厚生労働省の雇用動向調査では、入職率・離職率は常用労働者数に対する入職者・離職者の割合として定義されています。また、転職入職者は、入職前1年間に就業経験がある人とされています。
たとえば、離職率が10%でも入職率が15%なら、単純計算では「出ていく人より入ってくる人のほうが多い」状態です。
この差を表すのが入職超過率です。
一方、離職率が高く、入職率も高い会社では、人材の入れ替わりが活発な可能性があります。
したがって、離職率だけでなく、入職率や採用人数などと合わせて見ると、企業の人材の動きをより理解しやすくなります。
離職率にはさまざまな集計方法がある
「離職率」という言葉だけでは、数字の条件が分からないことがあります。
たとえば、次のような条件です。
- 1年間の離職率なのか
- 上半期・下半期だけの離職率なのか
- 正社員だけなのか
- パート・アルバイトを含むのか
- 新卒社員だけなのか
- 全従業員を対象にしているのか
- 自己都合退職だけなのか
- 定年や契約満了などを含むのか
厚生労働省の雇用動向調査でも、産業、企業規模、性別、年齢、雇用形態など、さまざまな条件で離職状況が集計されています。e-Statでは、2025年上半期についても産業・企業規模・性別などを組み合わせた離職率の統計表が公開されています。
つまり、「離職率20%」という数字を見つけても、それだけでは高いのか低いのか判断できません。
比較するときは、できるだけ条件をそろえることが基本です。
「離職率」と「3年以内離職率」は別の指標
転職先を調べるときは、「年間離職率」と「新卒3年以内離職率」を混同しないようにしましょう。
年間離職率は、一定期間に離職した人の割合を示す指標です。
一方、「新卒3年以内離職率」は、学校卒業後に就職した新規学卒者が、就職してから3年以内に離職した割合を示す別の指標です。
たとえば、ある企業の年間離職率が8%だったとしても、新卒3年以内離職率が8%とは限りません。
対象となる人も期間も異なるからです。
転職先の企業研究で数字を比較するときは、
「この離職率は、誰の、いつからいつまでの離職率なのか?」
を最初に確認しましょう。
数字の定義が違うものを並べても、正確な比較にはなりません。
離職率の計算方法・計算式
離職率の基本的な計算式
離職率の基本的な考え方は、
離職率 = 離職者数 ÷ 対象となる労働者数 × 100
です。
たとえば、対象となる労働者が500人いて、その期間に50人が離職した場合、
50 ÷ 500 × 100 = 10%
となります。
ただし、これは離職率の考え方を理解するための簡易的な計算です。
実際の統計では、調査ごとに分母や対象期間などのルールが決められています。
離職率を計算する具体例
たとえば、ある企業に100人の対象従業員がいて、1年間に12人が離職したとします。
この場合、
12人 ÷ 100人 × 100 = 12%
なので、単純計算では離職率12%です。
ただし、実際の会社では年間を通じて従業員数が変わります。
途中で100人採用して120人になったり、反対に退職者が続いて80人になったりすることもあります。
そのため、企業が独自に算出する「離職率」と、厚生労働省などの統計で使われる「離職率」は、同じ計算式に見えても、分母や対象者の定義が異なる場合があります。
企業の資料を見るときは、「離職率○%」という数字だけでなく、算出方法や対象範囲も確認することが大切です。
厚生労働省の雇用動向調査ではどう算出する?
厚生労働省の雇用動向調査では、入職率・離職率を、
入職者数・離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100
として算出しています。
年齢階級別については、6月末日現在の常用労働者数を分母とする扱いがあります。
ここで重要なのが「常用労働者」の定義です。
雇用動向調査では、期間を定めずに雇われている人や、1か月以上の期間を定めて雇われている人などを常用労働者として扱っています。
したがって、雇用動向調査の離職率は、単純に「会社を辞めた人数÷現在の従業員数」で計算した数字ではありません。
公的統計を企業の離職率と比較するときは、調査の定義をそろえて考えることが重要です。
分母・対象期間・対象者によって数字は変わる
離職率は、分母や対象期間を変えるだけでも数字が変わります。
たとえば、
- 正社員だけを対象にする
- 正社員とパートをまとめる
- 新卒入社者だけを対象にする
- 全従業員を対象にする
- 1年間を見る
- 半年間を見る
といった違いがあります。
特に注意したいのが、「年間離職率」と「半年間の離職率」をそのまま比較しないことです。
厚生労働省の雇用動向調査も上半期・下半期に分けて実施され、年計では両方を合わせて集計します。
転職先の企業資料を見るときも、まず「対象期間」を確認しましょう。
「離職率○%」という数字を見つけたら、次の3点をセットで確認すると安全です。
- 対象期間
- 対象者
- 分母の定義
この3つが分からないまま、他社の離職率と比較するのは避けたほうがよいでしょう。
日本の離職率の平均は?最新の公的統計を確認
日本全体の離職率
日本の離職率を確認するときは、厚生労働省の「雇用動向調査」が代表的な公的統計です。
2026年8月15日時点で、**年計として確認できる最新の雇用動向調査は2024年(令和6年)**です。一方、2025年(令和7年)については上半期の結果が2025年12月23日に公表されています。2025年の年計は、厚生労働省が2026年8月頃に公表予定としていました。
2025年上半期の雇用動向調査では、全国の主要産業について、
- 入職率:8.9%
- 離職率:8.1%
- 入職超過率:0.8ポイント
となっています。前年同期と比べ、離職率は0.3ポイント低下しました。
ただし、この8.1%は2025年1月から6月までの上半期の離職率です。
「日本の年間離職率は8.1%」という意味ではない点に注意してください。
また、厚生労働省の調査は常用労働者5人以上を雇用する事業所を対象としており、2025年上半期調査では約1万5千事業所を抽出して調査しています。
離職率の推移を確認する
離職率は、1年だけの数字を見るよりも、過去からの推移を見るほうが企業や労働市場の変化を捉えやすくなります。
厚生労働省の雇用動向調査では、入職率・離職率を長期にわたって確認できます。JILPT(労働政策研究・研修機構)でも、厚生労働省の雇用動向調査をもとに1964年以降の入職率・離職率の推移を整理しています。
ここで重要なのは、離職率が高いか低いかだけではなく、上昇しているのか、低下しているのかを見ることです。
たとえば、
- 以前は10%だったが、現在は15%に上昇している
- 以前は15%だったが、現在は10%に低下している
という2社があれば、同じ10〜15%台でも企業研究上の意味は異なります。
転職先を調べるなら、現在の数字だけでなく、可能な範囲で過去数年の推移も確認しましょう。
離職率の平均を見るときに注意したいこと
「日本の平均離職率が○%だから、それより高い会社は避けるべき」と考えるのは適切ではありません。
理由は、業界や企業規模、雇用形態によって離職率が大きく異なるからです。
実際、2025年上半期の雇用動向調査でも、一般労働者では宿泊業・飲食サービス業の離職率が10.3%、サービス業(他に分類されないもの)が11.5%でした。一方、パートタイム労働者では教育・学習支援業19.6%、学術研究・専門・技術サービス業17.0%など、雇用形態によっても数字が異なります。
つまり、全国平均と比べるだけでは、企業の特徴を正確に評価できません。
企業研究では、
全国平均 → 業界平均 → 企業規模 → 自分が応募する職種・雇用形態
というように、できるだけ自分の条件に近づけて比較するとよいでしょう。
最新データは厚生労働省・e-Statで確認できる
離職率を正確に調べたい場合は、まず厚生労働省と政府統計の総合窓口「e-Stat」を確認しましょう。
e-Statでは、雇用動向調査について、産業、企業規模、性別、年齢、雇用形態などの条件を組み合わせた統計表が公開されています。2025年上半期についても、産業・企業規模・性別別の離職率や、離職理由別の離職者数・構成比などを確認できます。
企業研究でネット上の記事を参考にする場合も、元データがどこから来ているのかを確認すると安心です。
特に「平均離職率」「業界別離職率」といった数字は、調査年や対象が古いケースもあります。
数字を比較するときは、調査年・対象・定義を必ず確認しましょう。
業界別・年代別・企業規模別の離職率
業界別の離職率
離職率を企業研究に使うなら、まず同じ業界の企業と比較することが重要です。
業界によって仕事の性質や人材の流動性が異なるため、全産業の平均だけを基準にすると判断を誤る可能性があります。
たとえば、宿泊業や飲食サービス業などは、人材の入れ替わりが比較的多い業界です。
一方で、長期雇用が一般的な業界では、同じ離職率でも意味が変わります。
厚生労働省の雇用動向調査では、産業別に入職率・離職率を確認できます。
2025年上半期についても、産業別・雇用形態別などの離職率が公表されています。 (mhlw.go.jp)
そのため、転職先の離職率を見るときは、
全国平均より高いか?
だけではなく、
同じ業界・同じくらいの企業規模の会社と比べてどうか?
と考えるほうが適切です。
たとえば、検討中の会社の離職率が15%だったとします。
全国平均だけを見れば「高い」と感じるかもしれません。
しかし、同業他社の離職率が20%前後なら、その会社が業界内で特別に高いとは限りません。
逆に、業界平均が5%程度なのに、その会社だけ15%なら、詳しく確認する価値があります。
年代別の離職率
離職率は年代によっても異なります。
若年層では、転職やキャリアチェンジなどによる人材の移動が比較的起こりやすいため、年代を分けずに全体平均だけを見ると、自分の状況とずれることがあります。
厚生労働省の雇用動向調査では、年齢階級別の離職率も公表されています。
転職先を調べる場合は、
- 自分と近い年代の離職状況
- 若手社員の定着状況
- 中堅社員の離職状況
- 管理職層の定着状況
などを確認できると、より具体的な企業研究につながります。
特に注意したいのが、「若手の離職が多い会社」と「全社員の離職率が高い会社」は同じではないという点です。
会社全体の離職率が低くても、若手社員だけが短期間で辞めているケースは考えられます。
反対に、全体の離職率が高くても、若手社員は定着していて、定年退職など別の理由で数字が上がっている可能性もあります。
ただし、企業が年代別の離職率を公表しているとは限りません。
その場合は、採用ページ、統合報告書、人的資本に関する資料などから、平均勤続年数や従業員構成を補助的に確認しましょう。
企業規模別の離職率
企業規模も離職率を見るときの重要な条件です。
同じ業界でも、従業員数が数十人の会社と数万人規模の会社では、組織構造や採用方法、仕事の分業、キャリアパスなどが異なります。
厚生労働省の雇用動向調査では、企業規模別の離職率も確認できます。 (e-stat.go.jp)
企業研究では、
業界 × 企業規模 × 雇用形態
をできるだけそろえて比較するのがおすすめです。
たとえば、
- 大企業の正社員
- 中小企業の正社員
- 大企業のパート
- 中小企業のパート
を同じ数字だけで比べても、企業の定着状況を正確には判断できません。
雇用形態によって離職率は変わる
離職率は雇用形態によっても変わります。
正社員とパートタイム労働者では、働き方や契約期間、転職のしやすさなどが異なるためです。
厚生労働省の雇用動向調査でも、一般労働者とパートタイム労働者を分けて離職率を集計しています。 (mhlw.go.jp)
そのため、正社員として転職する人が企業研究をする場合は、できるだけ正社員に近い条件のデータを見る必要があります。
求人票に「正社員」と書かれているのに、比較対象としてパートを含めた会社全体の離職率だけを見ると、判断を誤る可能性があります。
自分の条件に近いデータと比較する
離職率を比較するときは、次の順番で条件を近づけると考えやすくなります。
- 対象期間をそろえる
- 雇用形態をそろえる
- 業界をそろえる
- 企業規模をそろえる
- 年代・職種など、確認できる条件をそろえる
すべての条件が公開されているとは限りません。
だからこそ、完全に同じ条件を作ろうとするのではなく、どこまで条件がそろっているのかを確認することが重要です。
たとえば、「A社は全従業員の年間離職率」「B社は正社員だけの年間離職率」なら、数字だけを並べるのではなく、「単純比較はできない」と判断します。
この考え方を身につけると、離職率の数字に振り回されにくくなります。
離職率が高い・低いの目安は何%?
「何%なら高い」と一律には決められない
離職率には、すべての企業に当てはまる「○%なら高い」という基準はありません。
これは、離職率の意味が、
- 業界
- 企業規模
- 雇用形態
- 年齢構成
- 対象期間
- 離職理由
などによって変わるからです。
したがって、
「離職率10%以下なら安心」
「20%を超えたら危険」
といったルールを作るのはおすすめできません。
ただし、検索すると「10%」「20%」「30%」などの具体的な数字が気になる人も多いでしょう。
そこで、ここからは数字を危険ラインではなく、調査を深めるきっかけとして考えてみます。
離職率10%は高い?低い?
離職率10%だけを見て、「高い」「低い」と断定することはできません。
たとえば、同じ10%でも、
- 業界平均が5%なら比較的高い
- 業界平均が15%なら比較的低い
- 新卒社員だけなら意味が違う
- 全従業員が対象なら意味が違う
- 半年間の数字なら年間の数字と比較できない
という違いがあります。
そのため、10%という数字を見つけたら、
「10%だから問題ない」
ではなく、
「この10%は、どの条件で算出された数字なのか?」
と考えるのが基本です。
離職率20%は高い?低い?
離職率20%も、それだけでは評価できません。
たとえば、人材の流動性が高い業界で20%だった場合と、定着率が高い業界で20%だった場合では、受け止め方が変わります。
また、年間離職率20%なのか、半年間の離職率20%なのかでも意味が大きく異なります。
さらに重要なのが、誰が辞めているのかです。
若手社員の自己都合退職が多いのであれば、仕事内容、教育体制、給与、キャリアパスなどを詳しく調べる必要があります。
一方で、定年退職や契約期間の終了などが多いのであれば、同じ20%でも意味は異なります。
20%という数字を見たら、すぐに応募をやめるのではなく、離職理由や対象者を調べる段階に進むと考えるとよいでしょう。
離職率30%は高い?低い?
30%という数字を見ると、10%や20%よりも「高い」と感じる人が多いでしょう。
ただし、30%という数字だけでブラック企業と判断することはできません。
たとえば、短期間で人材が入れ替わることが業界構造として一般的な場合があります。
一方で、同業他社の離職率が一桁台なのに、ある企業だけ30%という場合は、理由を詳しく確認する価値があります。
特に、
- 若手社員の退職が多い
- 自己都合退職が多い
- 離職率が数年間で上昇している
- 採用人数が多いのに従業員数が増えていない
- 求人内容と実際の仕事内容に差がある
といった情報が重なる場合は、慎重に企業研究を進めたほうがよいでしょう。
重要なのは、30%という数字そのものより、「なぜ30%なのか」を調べることです。
業界平均・企業規模・対象期間と比較する
離職率を評価するときは、次のような比較をすると分かりやすくなります。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 業界 | 同じ業界と比べて高いか |
| 企業規模 | 同程度の規模と比べてどうか |
| 雇用形態 | 正社員など条件がそろっているか |
| 対象期間 | 年間か半年か |
| 対象者 | 全従業員か特定層か |
| 離職理由 | 自己都合・会社都合・定年など何が多いか |
| 推移 | 過去と比べて上昇・低下しているか |
たとえば、次のような会社があったとします。
A社
- 離職率:15%
- 業界平均:12%
- 5年前:10%
- 自己都合退職が増加
B社
- 離職率:20%
- 業界平均:25%
- 5年前:23%
- 定年退職が中心
数字だけならA社のほうが低離職ですが、背景を見るとB社のほうが必ずしも悪いとはいえません。
このように、離職率は単独の点数ではなく、企業の状態を読み解くための材料として使うことが大切です。
離職率だけでブラック企業とは判断できない
離職率が高いからといって、その会社が必ずブラック企業だとは限りません。
逆に、離職率が低いからといって、必ず働きやすい会社とも限りません。
ブラック企業かどうかを考えるなら、
- 長時間労働
- 休日・休暇
- 賃金
- 残業代
- ハラスメント
- 求人内容との相違
- 教育体制
- 評価制度
など、複数の情報を確認する必要があります。
離職率は、こうした情報の中の1つのチェック項目と考えましょう。
離職率が高い会社に見られる特徴
人の入れ替わりが多い職場
離職率が高い会社では、当然ながら人の入れ替わりが多くなります。
ただし、「人の入れ替わりが多い」という事実だけでは、原因までは分かりません。
考えられる背景には、
- 職場環境への不満
- キャリアアップによる転職
- 業界特有の人材流動性
- 定年退職
- 契約満了
- 事業拡大に伴う採用増加
などがあります。
そのため、「人がよく辞める」という情報を見つけたら、次に誰が、なぜ辞めているのかを調べることが重要です。
求人内容と実際の仕事内容にギャップがある
求人票に書かれている仕事内容と、実際の仕事に大きな差がある場合、入社後のミスマッチにつながる可能性があります。
たとえば、
「営業サポート」と書かれていたのに、実際には新規開拓営業が中心だった。
「残業少なめ」と書かれていたのに、繁忙期には長時間労働が常態化していた。
このようなギャップが繰り返されると、早期退職につながる可能性があります。
だからこそ、離職率を見るときは求人票も確認しましょう。
求人票の条件について詳しく確認したい場合は、**「求人票の見方|給与・年間休日・固定残業代など応募前のチェックポイント」**と組み合わせて読むと、より企業研究を進めやすくなります。
長時間労働や休日など労働条件に問題がある
長時間労働や休日の少なさなど、労働条件への不満が離職につながることもあります。
ただし、離職率だけでは労働時間や休日の実態は分かりません。
そのため、
- 月平均残業時間
- 年間休日
- 有給休暇取得率
- フレックスタイム制度
- リモートワークの有無
- 育児・介護との両立支援
などを別に確認する必要があります。
「離職率が高いから労働環境が悪い」と決めるのではなく、離職率が高い理由を探すために労働条件を確認するという順番で考えましょう。
教育・フォロー体制が十分でない
入社後の教育やフォロー体制が十分でない場合も、早期離職につながる可能性があります。
特に、
- 未経験者歓迎なのに研修がほとんどない
- 配属後のOJTが属人的
- 質問できる相手がいない
- キャリア面談の機会がない
といった状況が続けば、入社後にミスマッチを感じることがあります。
企業研究では採用ページだけでなく、面接でも教育体制について確認するとよいでしょう。
たとえば、
「入社後3か月程度は、どのような研修やフォローがありますか?」
と質問すれば、仕事内容だけでなく、会社が新人をどう支援しているかも確認できます。
給与や評価制度に不満が生じている
給与水準や昇給、評価制度への不満が離職につながる場合もあります。
ただし、年収が高ければ離職率が低いとは限りません。
重要なのは、
- 基本給
- 固定残業代
- 昇給
- 賞与
- 評価制度
- 昇格条件
- 職種ごとの給与レンジ
などを総合的に見ることです。
特に求人票では「年収○万円〜」だけを見るのではなく、その金額に固定残業代が含まれているか、賞与を含むのかなど、内訳まで確認しましょう。
ただし業界特性による高い離職率もある
離職率が高い理由は、労働環境だけではありません。
業界によっては、
- 若い人材が多い
- パート・アルバイト比率が高い
- キャリアチェンジが多い
- 季節による雇用変動がある
- 人材の流動性が高い
などの特徴があります。
そのため、「離職率が高い業界=ブラック企業が多い」と考えるのも適切ではありません。
企業研究では、業界全体の特徴を理解したうえで、個別企業が業界平均からどの程度離れているかを見ることが重要です。
離職率が低い会社なら働きやすい?
離職率が低いことにはメリットがある
離職率が低い会社には、一定のメリットがあります。
たとえば、社員が長く働いているなら、
- 業務ノウハウが蓄積されやすい
- 教育担当者が経験を持っている
- 組織が安定しやすい
- 長期的なキャリアを描きやすい
といった可能性があります。
特に、同じ業界・同じ規模の企業と比較して離職率が低く、平均勤続年数も長いのであれば、定着しやすい組織である可能性を示す材料になります。
ただし、ここでも「低い=働きやすい」と断定することはできません。
離職率が低くても注意したいケース
離職率が低くても、別の理由で社員が辞めにくいケースは考えられます。
たとえば、
- 社内でしか通用しにくいスキル構成
- 年功的な人事制度
- 転職市場との給与差
- 人手不足によって退職しにくい状況
- 管理職など一部の層だけが定着している
などです。
もちろん、企業ごとに事情は異なるため、離職率だけからこのような状況を判断することはできません。
だからこそ、低離職率を「安心材料」として使いながら、他の情報でも確認するという姿勢が大切です。
定着率だけでは職場環境を判断できない
離職率と反対の指標として「定着率」があります。
定着率は、一定期間にどれくらいの従業員が在籍し続けているかを見る指標です。
一般的には、
定着率が高い=辞める人が少ない
という関係になります。
ただし、定着率も単独では企業の良し悪しを決めるものではありません。
たとえば、定着率が高くても、給与が低かったり、昇進機会が少なかったりする場合があります。
企業研究では、
離職率・定着率・平均勤続年数
をそれぞれ確認し、同じ方向を示しているかを見るとよいでしょう。
平均勤続年数など別の指標も確認する
離職率と合わせて確認したい代表的な情報が、平均勤続年数です。
平均勤続年数が長ければ、社員が長く働いている可能性を示します。
ただし、平均勤続年数も会社全体の平均なので、部署や職種、年代による違いまでは分かりません。
そこで、
- 離職率
- 平均勤続年数
- 平均年齢
- 従業員数
- 採用人数
- 有給休暇取得率
などを組み合わせます。
たとえば、
離職率が低い+平均勤続年数が長い+有給取得率も高い
という結果なら、定着や働き方の面でポジティブな材料が複数そろっています。
一方で、
離職率が低い+平均勤続年数が長い+平均年齢も高い
という場合は、「若手も長く働いている」のか、「若手の採用・定着が少ない」のかを追加で確認したほうがよいでしょう。
離職率が高い=ブラック企業とは限らない理由
自己都合退職だけが離職ではない
離職率を見るときに、特に確認したいのが離職理由です。
離職率は「会社を離れた人の割合」を示す指標なので、その人がなぜ辞めたのかまでは数字だけでは分かりません。
たとえば、
- より条件のよい会社への転職
- キャリアチェンジ
- 結婚・出産
- 家族の事情
- 会社都合による退職
- 定年退職
- 契約期間の終了
など、離職にはさまざまな理由があります。
そのため、「離職率が高い=職場環境が悪い」と考えるのは早計です。
特に企業研究では、自己都合による離職が多いのか、それとも定年・契約満了などを含んでいるのかを確認すると、数字の背景を理解しやすくなります。
定年退職や契約満了なども考慮する
会社の離職者には、若手社員の自己都合退職だけでなく、定年退職や契約満了なども含まれることがあります。
たとえば、従業員の平均年齢が高く、毎年多くの社員が定年を迎える会社では、一定の離職が発生します。
この場合、「離職率が高い」という数字だけを見て、若手が次々に辞めていると判断するのは適切ではありません。
企業が離職理由別のデータを公表している場合は、ぜひ確認しましょう。
厚生労働省の雇用動向調査でも、転職入職者の前職を辞めた理由などが集計されています。2025年上半期についても、個人的理由、契約期間の満了、定年など、離職理由別のデータが公開されています。 (mhlw.go.jp)
事業拡大による採用増加と離職率をどう見るか
離職率を見るときは、入ってくる人の数も合わせて確認すると企業の状態を理解しやすくなります。
たとえば、事業拡大中の会社が年間100人を採用し、その一方で20人が退職したとします。
離職率だけを見ると「20%も辞めている」と感じるかもしれません。
しかし、採用人数が大きく上回っていれば、会社全体の従業員数は増えている可能性があります。
逆に、採用人数が多いにもかかわらず従業員数がほとんど増えていない場合は、入社と退職が頻繁に発生している可能性があります。
もちろん、これだけで問題があるとは判断できません。
重要なのは、
離職率+入職率+従業員数の推移
をセットで見ることです。
企業の有価証券報告書や統合報告書などで従業員数の推移を確認できる場合は、過去数年分を並べてみると企業の人員構成が見えやすくなります。
業界によって人材の流動性が異なる
業界によって、転職や人材移動が起こる頻度は異なります。
そのため、離職率が高い会社を見つけたら、まず同じ業界の企業と比較しましょう。
たとえば、業界平均が20%で自社が18%なら、「18%だから高い」とは言い切れません。
一方、業界平均が5%なのに自社だけ18%なら、より詳しく調べる価値があります。
ここで大切なのは、「絶対値」ではなく「相対的な位置」も確認することです。
ただし、業界平均との差だけで判断するのも不十分です。
同じ業界でも、
- 企業規模
- 職種
- 雇用形態
- 年齢構成
- 地域
- 事業内容
によって離職率は変わります。
したがって、できるだけ条件を近づけて比較しましょう。
離職理由まで確認することが重要
離職率を企業研究に使うときのポイントを一言でまとめるなら、
「何%か」より「なぜその数字になっているか」を見る
ことです。
たとえば、同じ離職率15%でも、
A社
- 自己都合退職が多い
- 若手社員の退職が目立つ
- 近年、離職率が上昇
B社
- 定年退職が多い
- 若手社員の定着率は高い
- 過去数年で離職率が低下
なら、企業研究で確認すべきポイントは大きく異なります。
公開資料だけで離職理由が分からない場合は、面接で質問する方法もあります。
たとえば、
「御社では長く働かれている方が多いと伺っていますが、社員の定着に向けてどのような取り組みをされていますか?」
のように聞けば、離職率そのものを直接質問するよりも、企業の考え方を確認しやすくなります。
転職先の企業の離職率を調べる方法
企業公式サイトを確認する
転職先候補の離職率を調べるなら、まず企業公式サイトを確認しましょう。
特に、
- 採用情報
- 人事・人的資本
- サステナビリティ
- IR
- 統合報告書
- データブック
などのページを探します。
企業によっては、
- 離職率
- 定着率
- 平均勤続年数
- 従業員数
- 平均年齢
- 有給休暇取得率
- 育児休業取得率
などを公開しています。
企業公式資料のメリットは、企業自身がどのような定義で数字を公表しているのかを確認しやすいことです。
ただし、会社によって指標の定義が違うため、企業Aと企業Bの数字を単純に並べないことが重要です。
有価証券報告書を確認する
上場企業などであれば、有価証券報告書も重要な情報源です。
有価証券報告書では、企業の事業内容や財務情報だけでなく、人的資本に関する情報も確認できます。
企業によって記載内容は異なりますが、
- 従業員数
- 平均年齢
- 平均勤続年数
- 人的資本に関する指標
- 人材育成方針
- 多様性に関する情報
などを確認できます。
離職率が記載されていなくても、平均勤続年数や従業員数の推移などを補助材料として使えるのがポイントです。
企業の有価証券報告書は、金融庁の「EDINET」で確認できます。
統合報告書・サステナビリティ資料を確認する
近年は、人的資本に関する情報を統合報告書やサステナビリティサイトで公開する企業も増えています。
離職率だけでなく、
- 従業員エンゲージメント
- 人材育成
- 女性管理職比率
- 育児休業取得率
- 有給休暇取得率
- 健康経営
- 人権・労働環境
などを確認できる場合があります。
離職率は「結果」の数字ですが、人的資本に関する取り組みを見ると、企業が人材をどう考えているかを理解する手がかりになります。
求人票・採用ページを確認する
求人票にも、離職率や定着率が掲載されている場合があります。
ただし、求人票では離職率そのものよりも、次の情報を確認することも重要です。
- 年間休日
- 月平均残業時間
- 固定残業代
- 給与
- 賞与
- 昇給
- 福利厚生
- 試用期間
- 募集職種
- 具体的な仕事内容
離職率が低くても、仕事内容が自分の希望と合わなければ、転職先として適しているとは限りません。
反対に、離職率が平均より高くても、仕事内容や給与、働き方が自分の希望と合っている場合もあります。
企業選びでは「離職率が低い会社を探す」のではなく、「自分に合う会社かを確認する」ことが重要です。
就職四季報などの企業情報を確認する
企業研究では、企業が公開する資料だけでなく、企業情報をまとめた書籍やデータベースを利用する方法もあります。
代表例の一つが「就職四季報」です。
企業によって掲載情報は異なりますが、採用実績や平均年収、残業時間など、企業研究に役立つ情報を比較できる場合があります。
ただし、掲載情報は企業が公表したものや編集部が収集したものなど、項目によって情報源が異なります。
そのため、重要な情報については、最終的に企業公式資料や公的情報でも確認するのがおすすめです。
企業口コミは補助情報として使う
口コミサイトも企業研究では参考になります。
特に、
- 実際の仕事内容
- 職場の雰囲気
- 上司との関係
- 残業の実態
- 有給休暇の取りやすさ
- 評価制度
など、公式資料だけでは分かりにくい情報を知る手がかりになります。
一方で、口コミには個人の経験や主観が含まれます。
同じ会社でも、部署、上司、勤務地、入社時期によって働き方が違うこともあります。
そのため、
公的統計・企業公式資料=客観的な条件を確認する情報
口コミ=実際の経験を知る補助情報
と分けて考えるとよいでしょう。
口コミだけを理由に応募・辞退を決めるのではなく、公式情報と照らし合わせながら使うことが大切です。
情報が見つからない場合の調べ方
企業が離職率を公表していないことも珍しくありません。
その場合、「公表していない=離職率が高い」とは考えないようにしましょう。
調べる順番としては、
- 企業公式サイト
- 採用ページ
- 統合報告書・サステナビリティ資料
- 有価証券報告書
- 公的統計
- 企業情報データ
- 口コミ
というように、一次情報を優先するとよいでしょう。
どうしても企業単体の離職率が分からない場合は、同じ業界・企業規模の公的統計を基準にする方法があります。
さらに、
- 平均勤続年数
- 従業員数の推移
- 採用人数
- 有給休暇取得率
- 残業時間
などを組み合わせれば、離職率が公表されていなくても、企業研究を進めることはできます。
転職先の離職率を調べるときに確認したい5つのポイント
離職率を見つけたら、数字をそのままメモするだけでは不十分です。
最低限、次の5点を確認しましょう。
①いつのデータなのか
まず確認したいのが調査時点です。
「離職率10%」という数字があっても、
- 2025年の数字なのか
- 2022年の数字なのか
- 直近12か月なのか
- 上半期だけなのか
で意味が変わります。
特に、企業が古い採用資料を掲載し続けている場合には注意が必要です。
可能なら最新の資料を確認し、過去数年の数字も並べてみましょう。
②誰を対象にした数字なのか
次に、対象者を確認します。
たとえば、
- 全従業員
- 正社員
- 新卒社員
- 若手社員
- 特定職種
- 特定事業所
では、数字の意味が変わります。
「離職率」という見出しだけで判断せず、注記や脚注まで確認しましょう。
③自己都合・会社都合など離職理由は何か
離職理由も重要です。
自己都合退職が多いのか、定年退職が多いのか、契約満了が多いのかによって、企業研究での意味が異なります。
企業が理由別の数字を公開していなければ、採用担当者に確認する方法もあります。
ただし、面接では「なぜこんなに辞めているんですか?」と問い詰めるような聞き方ではなく、定着施策やキャリア支援について質問すると自然です。
④業界・企業規模と比較してどうか
自社の数字だけを見ても、判断しにくいことがあります。
そこで、
自社の離職率 vs 同業他社・同規模企業の離職率
という比較をします。
比較対象の条件が近いほど、数字の意味を理解しやすくなります。
⑤過去数年で離職率がどう変化しているか
最後に確認したいのが推移です。
たとえば、
| 年 | 離職率 |
|---|---|
| 2022年 | 8% |
| 2023年 | 9% |
| 2024年 | 12% |
| 2025年 | 16% |
という会社なら、現在の16%という数字だけでなく、「数年間で上昇している」という変化に注目できます。
反対に、
| 年 | 離職率 |
|---|---|
| 2022年 | 18% |
| 2023年 | 16% |
| 2024年 | 13% |
| 2025年 | 10% |
なら、離職率は低下傾向です。
もちろん、数字の変化だけで理由まで分かるわけではありません。
ただし、変化が大きい場合は、その背景を調べるきっかけになります。
離職率以外に転職先の企業研究で確認したい情報
平均勤続年数
離職率と合わせて確認したい代表的な情報が、平均勤続年数です。
平均勤続年数が長ければ、長く働いている社員が多い可能性があります。
ただし、これも全社員の平均なので、若手社員の定着状況までは分かりません。
そのため、離職率と平均勤続年数をセットで確認するのがおすすめです。
従業員数・採用人数
従業員数と採用人数の推移も確認しましょう。
たとえば、
- 採用人数が多い
- 離職者も多い
- 従業員数はほとんど増えていない
という場合、人材の入れ替わりが活発な可能性があります。
一方で、事業拡大によって採用人数が増えている会社なら、離職者が一定数いても従業員数が大きく増えていることがあります。
数字を単独で見るのではなく、人の出入りと組織の成長をセットで見ることがポイントです。
給与・昇給・賞与
給与も企業選びでは重要な情報です。
確認したいのは、
- 月給
- 基本給
- 固定残業代
- 賞与
- 昇給
- 手当
- 想定年収
などです。
特に求人票の年収は、賞与や固定残業代などを含んでいる場合があります。
「年収が高いから良い」と判断するのではなく、どのような条件でその年収になるのかまで確認しましょう。
年間休日・残業時間
働き方を考えるなら、年間休日や残業時間も重要です。
たとえば、離職率が低い会社でも、残業時間が自分の許容範囲を超えているなら、転職先として合わない可能性があります。
確認したいのは、
- 年間休日
- 完全週休2日制か
- 月平均残業時間
- 固定残業時間
- 深夜勤務の有無
- シフト勤務の有無
などです。
有給休暇取得率
有給休暇取得率も、働き方を見る材料になります。
ただし、有給取得率が高いからといって、必ずしも働きやすいとは限りません。
部署によって取得しやすさが違う可能性もあるからです。
離職率、残業時間、年間休日などと一緒に確認しましょう。
育休・産休などの取得状況
長期的に働くことを考えるなら、育児休業や介護休業などの取得状況も確認しておきたい情報です。
特に、
- 育児休業取得率
- 男性の育児休業取得状況
- 復職率
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制度
などを確認すると、ライフステージが変化したときの働き方をイメージしやすくなります。
求人票と実際の仕事内容の一致
離職率とは別に、求人票と実際の仕事内容が一致しているかも重要です。
求人票には、
「法人営業」
と書かれていても、実際には新規開拓が大半というケースも考えられます。
面接では、
「1日の業務の流れを教えてください」
「入社後に担当する業務の割合を教えてください」
など、具体的な質問をすると仕事内容を確認しやすくなります。
企業の業績・事業の安定性
企業研究では、働き方だけでなく会社の事業そのものも確認しましょう。
たとえば、
- 売上高
- 営業利益
- 事業別の売上
- 従業員数
- 主力事業
- 新規事業
- 市場環境
などです。
離職率が低くても、事業環境が大きく変化している会社もあります。
反対に、離職率が一定程度あっても、安定して事業を成長させている企業もあります。
「長く働ける会社」を探すなら、人材の定着だけでなく、会社がどこに向かっているのかも確認しましょう。
口コミ・評判は一次情報と分けて考える
口コミは便利ですが、公式情報とは性質が違います。
企業資料は全体の傾向を確認するのに向いています。
一方、口コミは個別の経験を知るのに向いています。
そのため、
一次情報で事実を確認する
↓
口コミで実際の働き方を補足する
という使い方がおすすめです。
口コミの内容が企業公式情報と一致するのか、複数の投稿で共通しているのかも確認しましょう。
離職率を使って転職先を比較する方法
まず業界平均と比較する
離職率を企業比較に使うときは、いきなり「○%だから良い・悪い」と判断しないことが大切です。
最初に確認したいのは、同じ業界の平均と比べてどうなのかです。
たとえば、候補企業の離職率が15%だったとします。
この数字だけでは、高いとも低いとも断定できません。
同じ業界の平均が20%なら、むしろ相対的には低い可能性があります。
反対に、業界平均が7%なら、詳しく調べる必要があります。
ただし、業界平均はあくまで比較のスタート地点です。
業界平均より低いから安心、業界平均より高いから危険、と決めるのではなく、「なぜ差があるのか」を調べる材料として使いましょう。
次に企業規模・職種など条件をそろえる
業界が同じでも、企業規模や職種が違えば離職率は変わる可能性があります。
そのため、企業を比較するときは、
- 業界
- 企業規模
- 雇用形態
- 職種
- 年代
- 対象期間
など、公開されている範囲で条件をそろえます。
たとえば、
A社:従業員500人・正社員・年間離職率10%
B社:従業員5万人・全従業員・年間離職率10%
という2社があったとしても、同じ10%だから同じ状態とは限りません。
対象範囲が違うからです。
完全に同じ条件で比較できない場合は、「この数字は条件が違うため参考比較」と認識するだけでも判断の精度が上がります。
離職理由を確認する
次に確認したいのが、離職理由です。
特に、
- 自己都合退職
- 会社都合退職
- 定年退職
- 契約満了
- その他の理由
などを確認します。
もし企業が離職理由を公表していない場合は、面接で「定着率を高めるために取り組んでいること」を聞いてみるのも一つの方法です。
たとえば、
「社員の定着や長期的なキャリア形成について、御社ではどのような取り組みをされていますか?」
と質問すれば、企業が働き続けてもらうために何を重視しているのかを知る手がかりになります。
他の労働条件と組み合わせる
離職率は、他の企業情報と組み合わせて初めて使いやすくなります。
たとえば、次のような比較です。
| 項目 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 離職率 | 8% | 15% |
| 平均勤続年数 | 12年 | 7年 |
| 月平均残業 | 15時間 | 35時間 |
| 年間休日 | 125日 | 115日 |
| 有給取得率 | 75% | 55% |
| 業績 | 安定 | 成長中 |
この場合、A社のほうが定着や働き方の面では魅力的に見えるかもしれません。
しかし、それでも「A社が正解」とは限りません。
B社のほうが、
- 年収が高い
- 希望職種に近い
- 成長機会が多い
- リモートワークができる
など、自分にとって重要な条件を満たしている可能性があるからです。
企業比較の目的は、最も数字が良い会社を探すことではありません。
最後は自分の転職軸で判断する
最後に重要なのが、自分の転職軸です。
転職軸とは、転職先を選ぶときに「何を優先するか」という判断基準です。
たとえば、
- 年収を上げたい
- 残業を減らしたい
- 専門性を高めたい
- リモートワークをしたい
- 管理職を目指したい
- 安定した会社で長く働きたい
- 未経験の仕事に挑戦したい
などがあります。
離職率が低い会社でも、自分の転職軸と合わなければ、満足できるとは限りません。
反対に、離職率が業界平均を少し上回っていても、仕事内容や給与、働き方が自分に合っているなら、転職先の候補として検討する余地があります。
だからこそ、
離職率を見る
↓
数字の条件を確認する
↓
業界・企業規模と比較する
↓
離職理由を調べる
↓
他の企業情報と組み合わせる
↓
自分の転職軸で判断する
という順番で考えると、数字だけに振り回されにくくなります。
離職率を見るときによくある疑問
離職率10%なら転職しても大丈夫?
10%という数字だけで、転職して大丈夫とは判断できません。
同じ業界・企業規模と比較してどうなのか、対象期間や対象者は誰なのか、離職理由は何なのかを確認しましょう。
さらに、残業時間、年間休日、給与、仕事内容なども確認してください。
離職率10%は「安心」と判断する数字ではなく、企業研究を進めるための1つの材料として見るのがおすすめです。
離職率30%の会社は避けたほうがいい?
30%だけを理由に、必ず避ける必要があるとはいえません。
ただし、同業他社より大幅に高い場合や、自己都合退職が多い場合、近年急上昇している場合などは、理由を詳しく調べたほうがよいでしょう。
特に、
- 若手社員の離職が多い
- 長時間労働が常態化している
- 求人内容と実態に差がある
- 教育体制が弱い
- 給与・評価制度への不満が多い
といった情報が複数重なる場合は、慎重に判断することをおすすめします。
離職率が低い会社はホワイト企業?
必ずしもそうとは限りません。
離職率が低いことは定着の面でプラス材料ですが、働きやすさを判断するには、
- 残業時間
- 年間休日
- 有給取得率
- 給与
- 評価制度
- 福利厚生
- ハラスメント対策
- 仕事内容
なども確認する必要があります。
離職率は、ホワイト企業かどうかを判定する「合格マーク」ではありません。
求人票に離職率が書いていない会社は危険?
離職率が書かれていないだけで、危険な会社とは判断できません。
企業によっては、離職率を公開していないことがあります。
その場合は、
- 企業公式サイト
- 有価証券報告書
- 統合報告書
- サステナビリティ資料
- 採用ページ
- 公的統計
などを確認しましょう。
それでも分からなければ、平均勤続年数、従業員数、採用人数、残業時間、有給取得率など、別の指標で企業研究を進めることができます。
面接で離職率を聞いてもいい?
聞くこと自体は可能ですが、質問の仕方を工夫したほうがよいでしょう。
たとえば、
「離職率は何%ですか?」
だけでは、企業側も回答しにくい場合があります。
代わりに、
「長く働いている方が多い部署では、どのようなキャリアを歩まれていますか?」
「社員の定着や長期的なキャリア形成について、どのような取り組みをされていますか?」
などと聞くと、より具体的な情報を得やすくなります。
もし離職率の数字を確認したい場合は、
「企業研究の参考にしたいのですが、可能であれば直近の離職率や定着状況について教えていただけますか?」
のように、目的を添えて質問するとよいでしょう。
企業の離職率はどこまで信用できる?
企業が公表している数字でも、定義と算出方法を確認することが重要です。
たとえば、
- 正社員だけなのか
- 全従業員なのか
- 新卒だけなのか
- 年間なのか
- 一定期間なのか
によって意味が変わります。
企業Aと企業Bの離職率を比較するときは、同じ条件なのかを確認してください。
また、企業が公表している数字を否定する必要もありません。
重要なのは、
「この数字は何を表しているのか」を理解してから使うこと
です。
まとめ|離職率は「数字」ではなく「企業を比較する材料」として見る
離職率だけで転職先を決めない
離職率は、転職先の企業研究で役立つ指標です。
ただし、「○%だから良い」「○%だから危険」と単純に判断するための数字ではありません。
離職率には、
- 対象期間
- 対象者
- 雇用形態
- 業界
- 企業規模
- 離職理由
など、さまざまな条件があります。
まずは数字の背景を確認しましょう。
業界・企業規模・離職理由まで確認する
転職先の離職率を見るときは、次の5点を意識してください。
- いつのデータなのか
- 誰を対象にした数字なのか
- 離職理由は何か
- 業界・企業規模と比べてどうか
- 過去数年でどう変化しているか
この5つを確認するだけでも、「離職率○%」という数字に対する見方が変わります。
特に重要なのは、自分が応募する会社と条件が近い企業・統計と比較することです。
最後は自分の転職軸と照らし合わせる
最終的に転職先を決めるのは、離職率だけではありません。
- 年収
- 年間休日
- 残業時間
- 有給休暇
- 仕事内容
- キャリア
- 福利厚生
- 企業の業績
- 働き方
など、自分にとって重要な条件を組み合わせて考える必要があります。
「離職率が低い会社」ではなく、**「自分が納得して働ける会社」**を探すことが、企業研究のゴールです。
離職率は、その判断を助ける一つの材料です。
数字だけで会社を決めるのではなく、数字の背景を調べ、他の情報と照らし合わせ、自分の転職軸に合っているかを確認していきましょう。
FAQ
Q1. 離職率とは何ですか?
離職率とは、一定期間に離職した人が対象となる労働者に占める割合です。ただし、対象者や期間、算出方法は統計や企業によって異なるため、数字だけで比較しないことが重要です。
Q2. 離職率10%は高いですか?
10%だけでは高い・低いとは判断できません。同じ業界や企業規模、雇用形態、対象期間などの条件をそろえて比較する必要があります。
Q3. 離職率20%・30%の会社は危険ですか?
離職率が20%や30%だからといって、必ず危険とはいえません。離職理由や対象者、業界平均、過去の推移などを確認し、残業時間や年間休日など他の情報と組み合わせて判断しましょう。
Q4. 離職率が低い会社はホワイト企業ですか?
必ずしもそうとは限りません。離職率が低いことは定着の面でプラス材料ですが、給与、残業時間、休日、仕事内容、評価制度なども確認する必要があります。
Q5. 求人票に離職率がない会社は危険ですか?
離職率が掲載されていないだけで危険とは判断できません。企業公式サイト、有価証券報告書、統合報告書などを確認し、平均勤続年数や従業員数の推移など別の情報も確認しましょう。
Q6. 企業の離職率はどこで調べられますか?
企業公式サイト、採用ページ、統合報告書、サステナビリティ資料、有価証券報告書などを確認しましょう。企業単体の数字が見つからない場合は、厚生労働省の雇用動向調査やe-Statで業界・企業規模別の統計を確認できます。
Q7. 離職率と3年以内離職率は何が違いますか?
年間など一定期間の離職率と、新卒入社者など特定の対象者について就職後3年以内の離職状況を示す指標では、対象者と期間が異なります。数字を比較するときは、同じ指標なのか確認しましょう。
Q8. 面接で離職率を聞いても問題ありませんか?
質問することは可能ですが、「離職率は何%ですか?」だけでなく、社員の定着やキャリア形成について質問すると、企業の考え方も確認しやすくなります。

